東山紀之主演『刑事7人』は11.8%、「一匹狼の群れ」というコンセプトは受け入れられるか

2015.7.21

『刑事7人』公式ホームページより



<ジャニタレドラマ・ネットの声>

■『刑事7人』(テレビ朝日系、毎週水曜午後9時~)初回視聴率11.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)

『相棒』や『警視庁捜査一課9係』(ともにテレビ朝日系)などのヒット作品を生み出した“水9”枠で、少年隊・東山紀之主演の『刑事7人』が7月15日からスタートしました。大御所俳優の北大路欣也をはじめ、吉田鋼太郎や高嶋政宏、片岡愛之助、鈴木浩介というアクの強い共演者陣と“警視庁捜査一課12係”としてチームを組み、難事件を解決していくこのドラマ。30分拡大スペシャルだった初回放送の視聴率は11.8%で、残念ながら平均視聴率17%を記録した『相棒』には及ばない数字となりました。



第一話では、クルーザー爆発事故で亡くなった元大蔵大臣の息子・江尻孝之(川口力哉)について、警視庁捜査一課12係へ配属されたばかりの天樹悠(東山)が、“日の出間近の時間帯に太陽の方向に向かって進む船に乗っていた江尻が、サングラスをしていなかったのはおかしい”と主張。そして法医学の権威・堂本俊太郎(北大路)の司法解剖の結果、江尻は事件前夜に絞殺されていたことが判明します。とにかく“時間”に執着する天樹が次々に発見する江尻の死に関する不可解な事実、そして時期を前後して起こった連続放火事件、女性従業員失踪事件など複数の事件……。ひょうひょうとした係長の片桐正敏(吉田)、人間観察に秀でていて、熱血漢の沙村康介(高嶋)、鑑識出身でデータ分析に強い山下巧(片岡)、慢性的にやる気のない永沢圭太(鈴木)、紅一点の帰国子女で歯に衣着せない発言の水田環(倉科カナ)と個性派ぞろいの12係ですが、それぞれ刑事としての勘と正義感の強さには相通じるものがあり、粘り強い捜査で、3つの事件が20年前の未解決の誘拐事件に端を発するものだということを突き止めます。

ネットでは「東山がいい味出していたし、キャラ立てがきちんと設定してあるからこれから親しみがわくと思う」「“一匹狼の群れ”というこれまでの刑事ドラマにないコンセプトが面白い」といったキャラクター設定やコンセプトの妙を評価する意見のほかに、「ヒガシと吉田の組み合わせだと、どうしても『七つの会議』(NHK)臭がする」「キャストの半数が『半沢直樹』(TBS系)からというのはやりすぎでは?」といった、キャスティングに関するシビアなツッコミも見られました。

また東山演じる天樹はベージュのスーツにスニーカー履きでヘアスタイルは無造作なパーマヘア……という出で立ち。捜査に集中しているシーンには髪を振り乱して走り回るのですが、「東山の髪型が気になってドラマに集中しづらい」などのツッコミの中に、「東山がイケメン一辺倒から脱却しているのがいい」という、主に男性からの感想が多く見られたのが特徴的でした。

この天樹のビジュアル演出に関しては本人も「今回はスタイリッシュさは一切考えず、普段の自分なら絶対にしないことをあえてするような、これまでのイメージにないキャラクターにしたい」(「TV LIFE Premium Vol.14」学研パブリッシング)と断言しています。また今作は東山が主演ではあるものの、共演陣のアクの強い演技もバランスよくフィーチャーされた群像劇のような側面も持っているのですが、本人もそれについては「(キャストの顔ぶれについて)僕としてはとても幸せであり、一方でちょっと不幸…かな(笑)。だってこの強烈な個性と経験をお持ちの方たちを、天樹としては振り回さなければいけないんですから!」(「月刊TVnavi8月号」産経新聞出版)と、戦々恐々としているのだとか。

『必殺仕事人』(テレビ朝日系)シリーズなど時代劇を中心に数多くの作品に出演し、『琉球の風』(NHK)でジャニーズ初の大河ドラマ主役を務めた東山。ストイックな性格から“Mr.パーフェクト”と呼ばれ、演技にもどこかその美学を反映した部分がありましたが、今回は生活感あふれる立ち居振る舞いや、48歳という実年齢相応のややくたびれたビジュアルの天樹というキャラクターを熱演。作品全体についてはさまざまな感想があるものの、地に足のついた東山の演技に好感を持った視聴者が多かったようです。東山にとっては実力派キャストたちと共演するということで演技力を試される場であり、今後汚れ役や老け役など、役者としてより演技の幅を広げていく予兆をも感じさせる今作。一桁台が多い、今期のドラマにおいては、初回視聴率はまずまず。今後視聴者の支持を得られるかどうかが、ドラマ成功の鍵となりそうです。

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