“わかりやすい会話”ができない森田剛、ついにお遍路まで……

2012.6.27

6月20日放送の『ザ少年倶楽部プレミアム』(NHK BSプレミアム)に森田剛が出演しました。現在、NHK大河ドラマ『平清盛』に平時忠役で出演中の森田。芝居への手応えが感じられず不安な時に、放送を見たTOKIO・松岡昌宏から「良かったぞ」とメールをもらったそうで、「めちゃくちゃうれしかった」と話します。しかし森田の淡白さを知るMCの国分太一は、「メール返した? “ありがとうございます”みたいな。どうせその一行で終わりでしょ、お前!」。案の定、森田はそれしか返さなかったそうです。

ここで森田の大河デビュー作『八代将軍吉宗』(1995年)や『毛利元就』(97年)などの過去のVTRが流れると、「16歳の頃のVTRを見て“覚えてない”って言ってたでしょ。あんなに出てるのに覚えてないって、あんま興味なかったでしょ、芝居ってものに」と国分。「なかったですね」「とにかく眠かった」と森田は笑いながら答えます。それが今では数々の舞台に出演。演出家・蜷川幸雄から「1を言えば100応える役者」と言われるほど、その演技は高く評価されています。芝居にハマッた理由について森田は「舞台でしか味わえないものだったり、人との関わり方もそうですし、生きてる感じというか。普段生活してて味わえない感情だったり」と熱く語っていました。

森田の初舞台を演出した、劇団☆新感線主宰の演出家・いのうえひでのりからメッセージが届きました。「(森田は)昭和の俳優さんの匂いがする」と、いのうえ。「ショーケン(萩原健一)さんとか、松田優作さん。もっと前の、アウトローを演じてきた勝新(勝新太郎)さんとか。その辺の、いい意味での不良性を持ってて、孤独な匂いがする」。また演出家の宮本亜門も「すべてにおいていろいろなアンテナを張ってジーッと人の話を聞いている。その聞いている姿が、周りから見るとなんか暗そうなんだよね(笑)」とやはり森田の“孤独な匂い”を感じている様子。そんな森田を「クリエーションしやすい」と評価しながらも、宮本は「もうちょっとねー、わかりやすい会話ができるといいなと思いますけどね、普段の会話がね。何考えてるかわかんない感じが面白いんだけどね」とこぼします。みんなが笑っているタイミングでも森田は1人だけ下を向いていたそうで、「もうちょっと前向いて笑ったら? と思う。でもそれができないのが森田剛の魅力!」と話していました。

一見暗そうでも、実は心を開いているという森田。出演者たちとの飲み会にも実は参加したいそうですが、「暗いからそんなに誘われないっす」。どうやら舞台の間は「余裕がないんすよね。空いてる時間に誰かとしゃべったりとか、ないですね」と語る森田は、休憩時にも切り替えせず、家に帰ってからも台本を開くというストイックぶり。33歳の森田に「30代になって変わったこと」を尋ねると、「仕事に対しての思いが一番変わった部分ですね。例えばちょっとでも気抜いてたりとかしたらバレちゃうと思うし。そこでがんばることが一番いいのかなって」。デビュー当時は「なんかモヤモヤしていた」というV6に対する思いも変わったそう。「今思うのが、一人ひとりが輝くというか、がんばることがすごく大事だと思ってる。舞台とか、1人で仕事して経験したこと、そこでの自信がV6になった時に多少プラスになるんじゃないかなと思ってる」と語っていました。

ここまでは根暗オーラの森田でしたが、プライベートのすごし方について尋ねられると、「ゴルフを始めて。結構、知らないおじさんと回ったりとか(笑)」。これには国分も「知らないおじさんと回れるのに、どうして後輩とメシ行けないの(笑)!?」と突っ込まざるをえません。森田は「ゴルフ通すと何でも話せる」そうで、ゴルフ以外の趣味は、なんとキャンドル作り! 「旅先で歩いてたらキャンドル屋さんがあって、うわ、いいなぁと思って。東京帰ってきてキャンドル教室に通って、そこで勉強して」。「知らない人の集まりだよね? キャンドル通すと話せるみたいな?」と国分が尋ねると、森田は照れ笑いしながら「そうっす」と一言。自分の好きなことを通すとそんなにもオープンになれちゃうものなんですね。

意外な発言はまだまだ続き、お遍路もしたという森田。「じいちゃんが死んで、何もできなかったから。っていうのがキッカケで、手合わせて回れればいいなと思って始めたんですけど」。当然知り合いと回ったのだろうと思いきや、なんと1人で回ったのだそう。この話を聞き「すげー! あのかっこしたの? あの白いやつと棒持って、傘かぶって?」と国分も興奮気味。森田はお遍路について「良かったですね。普段自分のことを考えたりとかしないので、歩いてると気付くというか。毎回人に優しくしようって思って帰ってくるんですよ」と話しました。

番組の最後、森田は国分について「自信に満ち溢れてるように見える」と話し、「オレは自信がまったくないんですよ。だから、自信がある人が僕は好きなんで。魅力的じゃないですか、自分を持ってる人は。そういうのを身につけたいと思う」と語ります。けれども森田の芝居に対する情熱やプライベートの逸話には、国分も「いや、かっこいいっすアンタ」ともらしてしまうほど。一つひとつ丁寧に言葉を選びながら話す森田の表情からは、静かに燃え続けているような、芯の強さが感じられました。この控えめな熱さこそ、偉大な演出家たちを虜にする理由なのかもしれませんね。

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