キタミツの天然ドヤ顔が生きるいい配役

＜ジャニタレドラマ・ネットの声＞

■『裁判長っ！おなか空きました！』（日本テレビ、毎週土曜25時20分～）初回視聴率2.0％（ビデオリサーチ調べ、関東地区）

Kis-My-Ft2北山宏光主演のドラマ『裁判長っ！おなか空きました！』が10月5日から始まりました。裁判所を舞台にしたワンシチュエーションコメディで、巧妙な会話劇で珍事件を紐解いていくという作品です。登場人物は北山演じる新人弁護士・新田正義のほか、裁判官（佐藤二朗）、検察官（TEAM NACS・戸次重幸）とゲスト出演者の被告や証人のみ。

第1話には妻を殺害したとされる被告（永井秀樹）が登場。妻の死因は窒息死でしたが、口には大量のシュークリームとエクレア、鼻にはグミが詰め込まれていた……という奇妙なこの事件。検察官はまず犯行日の被告の足取りを説明するのですが、会社から帰宅後ガンダムのゲームを始めたというくだりで、新田が「裁判長！　私もガンダムが大好きです！」と主張し始め、話が脱線。ガンダムのキャラクターをテーマにした激しい論争が、戸次演じる検察官と新田弁護士の間で繰り広げられます。

裁判官の「いつまでガンダムの話を続けるつもりですか？」のツッコミに我に返った検察官は、被告の妻が用意した夕食の餃子の焼き方に被告が激高し、殺害に至ったのだと主張。“日頃から恨みがあった上での計画的な犯行ではないのか？”と問い詰める検察官に対し、被告は酔っ払った妻が寝言で「シュークリーム」と言ったので食べさせようとしたと主張します。そこで新田が検察官に「デザートは別腹、って言葉を知ってますか？」と反論。被告は妻のためにシュークリームやエクレアを用意したが酔っていて手元が狂い、必要以上に食べさせてしまったのであって、「すべては愛ゆえの事故だった」と弁護します。この新田の熱意（？）が裁判員たちの心を動かし、この件は事故であるという評決が下りました。

このドラマの脚本・演出は『勇者ヨシヒコと魔王の城』（テレビ東京系）シリーズや『コドモ警察』（TBS系）、映画『HK　変態仮面』などを手掛けた福田雄一。裁判官を演じる佐藤、検察官を演じる戸次は福田作品の常連で、コメディにも長けたツワモノぞろいです。北山は七三に近いビシッとしたヘアスタイルで熱血弁護士を演じていますが、法廷では空回り＆脱線しやすいという設定。被告の妻が夕食で好みの焼き方の餃子を用意しなかったことを説明する際には「落胆！　さらに落胆！　落胆タンタタンタタン!!!」、妻のためにシュークリームを買いに走る被告の様子を「第一コーナー、第二コーナーを回って、コージーコーナ～ぁああああああ!!!（指差しポーズで）」と表現するなど、福田流のラップ的な言葉遊びにも体当たりで臨んでいます。

ネットでは「めちゃくちゃで面白い」「声に出して読みたい日本語感がすごかった！」など、作品全体への評価は高いものの、主演の北山については「滑舌が少し悪くて、セリフが走っちゃうのがもったいない」「まだ長セリフを覚えるのが精いっぱい？」といった、主にセリフ回しについて不安視している人が多かったよう。ですが、全力の演技については福田ファンやTEAM NACSファンからも「あの過剰な演技が面白い」「空気感ははまってると思うのでこれからに期待」というような好意的なコメントが寄せられていました。

これまでに『ビギナーズ！』（TBS系）など、数々のドラマに出演してきた北山ですが、「本読みだけでも大爆笑しちゃうんですよね」（「週刊ザテレビジョン」40号、角川グループパブリッシング）というほど“全力でふざける”タイプの演技は初めて。しかも使い慣れない法律用語に加えて「福田雄一さんが書く長セリフに苦労しています」（「TVガイド」10月11日号、東京ニュース通信社）とのことで、初回収録ではセリフをかんで笑ってしまうような一幕もあったとか。

脚本＆演出は今ノリに乗っている福田雄一、キャストも実力者ぞろい……となれば、作品の成功は北山の演技にかかってくると言っても過言ではありません。そんなプレッシャーを感じているのかいないのか「集中しようと、喫茶店で台本を読んでいたんですが、注文してないピザトーストが来たり、いいところでレモンティーが来たりして集中できなかった……」（「週刊ザテレビジョン」）とザンネンなエピソードを語っていたそう。『幽かな彼女』（関西テレビ）では父兄にも生徒にもナメられるへたれ教師を演じていましたが、今回はおとぼけがすぎるコメディでどう“男を見せる”のか、見守っていきましょう！