長瀬智也主演の『クロコーチ』、ネットでは高評価でも視聴率は伸びず……
2013.10.16
<ジャニタレドラマ・ネットの声>
■『クロコーチ』(TBS系、毎週金曜22時~)初回視聴率12.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)
TOKIOの長瀬智也主演のドラマ『クロコーチ』が10月11日にスタートしました。長瀬と剛力彩芽の初共演も話題のこの作品。原作は、浦沢直樹との共同プロット制作で『20世紀少年』(小学館)などヒット作を次々と生み出してきた長崎尚志ことリチャード・ウーと、『アウト・ロー』(講談社)などで知られるコウノコウジのコミックで、1968年に起きた三億円強奪事件をモチーフにしたもの。長瀬は政治家の弱みを握って大金を強請る悪徳刑事・黒河内を、剛力は優秀で純真無垢な新人刑事・清家を演じます。
第1話は、あるホステスの撲殺死体が発見されたことから幕が上がります。彼女は神奈川県会議員の郷田文吾(石丸謙二郎)の愛人。当然郷田に疑いがかかりますが、選挙違反などを扱う刑事部捜査二課の黒河内が、なぜか事件当夜の郷田のアリバイを証言。実はDVの気がある郷田が、愛人の浮気を理由に彼女を死に至らしめてしまったのですが、黒河内は犯行の隠蔽工作に加担します。一方、捜査一課に赴任してきた東大卒のキャリア組・清家は、黒河内のお目付け役として彼とコンビを組むことに。例の隠蔽工作は、黒河内が追っている8年前に起きた一家皆殺し事件と女子高生強姦殺人事件の証言を得るためのものだと知り、いやいやながらも黒河内と行動を共にする清家。2人の捜査の手は黒河内が2つの事件の犯人と睨んでいる現職の神奈川県知事・沢渡(渡部篤郎)へと伸びるのですが……。
実は警察内にも知事・沢渡のスパイがおり、捜査を続けようとする黒河内と清家を抹殺しようと企てます。銃撃戦で清家が失禁するショッキングなシーンも含め、第1話からかなり見ごたえのあるストーリー。役作りのためヘアスタイルを角刈りにしてマフィア風のスーツに身を固めている長瀬ですが、もともとのワイルドな風貌にうさん臭さが加わり、ヤクザまがいの刑事という設定がなかなかハマっています。
ネットでは「こんなに展開の速いドラマは久しぶり。面白かった」「1時間があっという間」「今期は今のところ『リーガルハイ』と『クロコーチ』だな」など、第1話はおおむね好評価だったもよう。黒河内の決めゼリフ「正~解~!」の乱発など、演出や脚本にややくどさがあるため「(正~解~!を)流行らせたいのか知らんが連発はウザい」という声や、「長瀬の演技がまんま(ヤクザの若頭を演じた)『マイ★ボス マイ★ヒーロー』(日本テレビ系)」という指摘もありましたが、一番多かったのが「長瀬ドラマにハズレなし」というコメント。ここ最近では『泣くな、はらちゃん』(日本テレビ系)での大胆&繊細な振り幅のある演技が光っていたこともあり、長瀬の出演作には期待を寄せている視聴者が多いことがわかります。ただ、残念なことに、初回の平均視聴率は12.0%と伸びず。ネットでの評価が高かったので、今後は口コミで固定ファンを取り込めるかが勝負となりそうです。
政治家と警察幹部の癒着など闇の部分を描いていることや、刑事でありながら疑惑の中心にいる主人公などかつてない設定に、長瀬自身もこの作品で「刑事ドラマの概念をぶち壊したい」(「月刊ザテレビジョン」11月号、角川グループパブリッシング)と意気込んでいるよう。また、刑事なのに“クロい”黒河内を自らのグループになぞらえて「今の時代、これだけテレビで言っちゃいけないワードがあふれてる。でもどうしてもTOKIOはクロい方向に行っちゃうわけですよ(笑)。でも、もしかしたらそのクロい部分があるからこそ、面白くなってるんじゃねえかなって。(中略)リーダー(城島茂)はさらに、シロクロ以上に哀愁を感じさせる何かもありますけどね」(「週刊ザテレビジョン」40号、角川グループパブリッシング)とぶっちゃけ。アイドルでありながら平均年齢38.4歳、グループとしてはバラエティ色の強いTOKIOと、ドスのきいた声で「アジャパー……」などオヤジ風リアクションをちょいちょいはさんでくる黒河内のキャラクターに、リンクするものを感じているのかも知れません。
近年は俳優としての魅力を開花させている長瀬。今作でも主人公のつかみどころのなさと、内に秘めた熱さをうまく表現しています。34歳という実年齢よりもおそらく年上であろうむさ苦しい黒河内を演じきることで、若さや端正なビジュアルだけに頼らず、10年後、20年後にも活躍できる息の長い俳優へとさらにステップアップできるのではないでしょうか。どんでん返しに次ぐどんでん返し、という息をもつかせぬストーリー展開もさることながら、そんなことも予感させる『クロコーチ』の今後に注目です。
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