2016年9月時点で、単行本としては『ピンクとグレー』『閃光スクランブル』『Burn.-バーン-』『傘をもたない蟻たちは』(いずれもKADOKAWA)の著作を持つ加藤。渋谷系といわれるカルチャーを感じさせる固有名詞や古い映画のタイトルが出てくるなど、加藤の幅広い知識が随所に感じられる。ときにはキワドイ性描写もあり、「芸術作品として読まなくては」という気持ちと、「シゲがどんな顔でこれを書いたのかしら?」という気持ちの板挟みになるファンが多く、いろんな意味でエロティックな読書体験にさせてくれる。「賞がとれるくらいの作家にならないと自分はまだ半人前だなって思ってしまう」と謙遜していたかと思えば、「最近は文化人としてのお仕事させていただく機会も多く」という自ら文化人と言ってしまうこともあり、シゲの自意識の変化も見どころ。作家関連のときだけファンに「シゲ先生」と呼ばれる。