今回は「地面に埋まっている」という北山の身体的特徴が生きる役柄！

■『サイレーン　刑事×彼女×完全悪女』（関西テレビ・フジテレビ系、毎週火曜22時）初回視聴率12.9％（ビデオリサーチ調べ、関東地区／以下同）

　Kis-My-Ft2の北山宏光が出演するドラマ『サイレーン　刑事×彼女×完全悪女』が10月20日にスタート。初回は21時からの2時間スペシャルで放送され、初回平均視聴率は12.9％と、“月9”作品である『5→9　～私に恋したお坊さん～』（同）の12.6％を上回る好調な滑り出しを見せた。

　今作の主演を務めるのは、若手俳優の松坂桃李。彼が演じる、里見偲は警視庁機動捜査隊（通称・機捜）に所属する刑事で、相棒を組む猪熊夕貴（木村文乃）は恋人でありライバル。というのも、機捜は最初に事件現場に駆けつけ初動捜査を行うことが任務で、疑問があっても捜査方針には口出しできない。里見と猪熊はともに、花形部署・捜査一課を目指しているのだ。

　そんな2人が、キャバクラで発見された女性の変死体を調査するために店を訪れたところから物語が大きく動きだす。店の従業員・橘カラ（菜々緒）に事情を聞いていると、カラは猪熊をじっとりと見つめ、その後も偶然を装って猪熊と接触を図る。さらには、カラはその美貌を生かし、2人が半同棲する物件の向かいにある高級マンションに転がり込んで監視を始めるのだ。

　一方で、管内で口に白ソックスをくわえた若い女性の死体が見つかる。シリアルキラー（異常犯罪者）の本を読んでいた里見は、これがシリアルキラーによる連続殺人と主張するが、桜中央署の刑事課長・安藤実（船越英一郎）にはまったく相手にされない。そんな中、殺人事件犯人が運転手を務めるタクシーに偶然カラが乗り込むが、翌日発見されたのは運転手の遺体だった……。

　今作は、マンガ家・山崎紗也夏の『サイレーン』（講談社）を実写化した、本格クライム・サスペンス。カラが同性である猪熊に執着する理由が不明なままスリリングに話が展開し、ネット上でも「マジでこわい」「カラというか菜々緒が怖すぎる」といった意見が飛び交っていた。これが視聴率を伸ばした要因だろう。

　北山が演じるのは、桜中央署の刑事・速水翔。上昇志向が強く、周囲の刑事と異なりオシャレなスーツを着こなすなど、イヤミな男だが、身長が低いことをコンプレックスに思っており、周囲からは「チビデカ」と呼ばれている。彼もまた警視庁捜査一課を狙っており、ライバルである里見・猪熊を出し抜こうと画策。原作にはないオリジナルのキャラだが、「キタミツ先輩、良い味だしてる。（ドラマが）緊張感あり過ぎて疲れちゃうから出てくるとちょうど良い空気感あるなぁ」「箸休めの意味でも貴重な役柄」と好印象を与えていた。

　北山は速水というキャラクターについて「ライバル視している主人公の里見に対して『仕方ねーな』って言いながら面倒を見たりとか。悪いヤツではなさそう。上を目指すという意味では共感できるところもあるよ。速水はちょっとガツガツしすぎだけど（笑）」と分析。初回だけで数パターンのスーツ姿を披露した衣装についても、「ふだん、3ピースなんて着ないからね。新鮮！　腕時計も高級だったり、速水はちょっとお金持ちの匂いがする」（以上「Wink up」2015年11月号、ワニブックスより）と語っており、デキる男風の姿はファンとしても注目したいところ。

　シリアスなドラマの中で、一息つけるようなキャラクターを違和感なく演じる北山だが、「それにしてもオレって、クセのある役が多くない？　みんなからそういうヤツだって思われているのかな（笑）」と自虐コメント（「POTATO」2015年11月号、学研パブリッシング）。直近の出演作を振り返ってみると、児童虐待やDVといったテーマを扱ったドラマ『家族狩り』（TBS系）ではチャラついた元ヤンキーを演じ、スペシャルドラマ『一千兆円の身代金』（フジテレビ系）では誘拐犯（SMAP香取慎吾）と知らずに彼を助け、改心の芽を植える警察官役を演じた。今作も含め、出演シーンはそれほど多くはないが、視聴者とドラマをつなぐ隠れたキーマンとなっている。主演を張るジャニーズアイドルは多いが、こういった短い時間で強烈な印象を残す北山は、ジャニーズの中でも貴重なポジションを獲得しつつあると言えるだろう。

　第2話では、カラと猪熊が急接近し、カラに疑いを持つ里見は独自に彼女の身辺を調査し始める。先の読めないドラマの展開とともに、イヤミな速水がどう里見・猪熊カップルに絡み、キャラを変えていくのかにも注目だ。