最終回も、「そんなワケあるか！」とツッコミどころ満載の“ネタドラマ”路線を突き進む展開ながら、最後は〈愛する人の幸せを守るために自らが犠牲になる〉という純愛路線で幕を閉じた。衣香から“一緒に行けない”と告げられた時の樹の顔が、これまでに見せたことがないほど晴れやかな表情だったのは、彼女が自分の幸せをようやく実感できたことを心の底から喜んだからなのだろう。

　当初は得体の知れない“怪しさ”しかなかった樹という人物も、振り返ってみればそんなに悪い人物ではない。樹が犯した犯罪行為といえば、他人の家に勝手に住みついたこととパソコンのデータを盗んだことくらい。屋根裏に住んだのは、途中から家人の了承を得ているし、パソコンのデータも悪用せずに正直に持ち主に返したので、ギリギリ許されるというところだろうか。

　結局「まあまあいい人」だった樹が幸せになれず、すべての罪を背負って逮捕されてしまったというオチには、「いくら衣香に幸せになって欲しいからって樹くんが罪を背負うなんて切なすぎる」「樹に罪を押し付けて自分たちは平和に暮らすの？　それ幸せか？」と樹に同情する声や、衣香たちの都合の良さを非難する声がファンから上がっていた。

　また、最終的に樹が冤罪のまま裁かれたのか、やはり真犯人の誠が逮捕されたのかは、劇中で描かれなかったためわからない。そのため、ファンの間では「ナイフだけじゃ証拠弱いしやっぱり誠が逮捕だろう」「DNA鑑定もあるし、杏子の証言もあるし、誠の逮捕は避けられないのでは」と、ドラマのその後を予想する声少なくなかった。

　ラストシーンは、数々の小ネタで視聴者を沸かせた本作にふさわしく、屋根裏でバイオリンをつまびく男児を衣香が優しいまなざしで見守るという謎の場面。衣香と樹が屋根裏で関係を持った時にできた子どもではないかとの見方が多く、また樹役の今井は、過去のドラマで女性を妊娠させてしまう役が多いことから、「翼くん、また妊娠させちゃった」「今井翼はモテ男というか子だくさん！」といったツッコミを入れるファンも少なくなかった。

　今井は今作で、食パンやハムを丸かじりしながらカッコ付けるギャグのような場面から、キレキレのダンスシーン、別れを告げた衣香に寂しそうにほほえみながらバイオリンを演奏する哀愁漂う姿など、つかみどころのない人物を幅広い演技で表現して見せた。放送後のネット上では「ここまで人を愛せるってステキ……久々に今井くんに萌えた」「深くて尊くて、究極の愛と思った！」など、視聴者の賛辞が次々と書き込まれた。

　今井が次回はどんな役柄で、役者としての姿を見せてくれるのか今から楽しみだ。