草なぎ剛主演の『冬のサクラ』が終わりました。平均視聴率14.0%(視聴率は関東地区・ビデオリサーチ社調べ)。最終回は最高の16.1%をマークしました。
昨今のジャニーズタレントが主演したドラマは、二宮和也の『フリーター、家を買う。』のような成功作は最終回の数字がグッと上がり、失敗作といわれるものは逆に尻すぼみに終わっています。残念ながらほとんどが後者の中で、一応『冬のサクラ』は最終回に注目してもらう終わり方ができました。
ストーリーの方は、血液型がどうしてそんなに都合良く一致するの? とか、どうして最後はみんないい人になってしまうの? とか、現実離れを突っ込む声も多々ありましたが、これは企画や脚本が安易だからではなく、むしろ“40年ぐらい前のメロドラマ”のテイストを忠実に再現したためです。
メロドラマというのは、ストーリーの細かい整合性や合理性よりも、感動や演者の魅力など、視聴者の感情を動かすことに特化したドラマのことです。
このドラマが手本とした韓流ドラマは、基本的にそうした古典的で漫画チックな作り方をしているのではないでしょうか。
今は、メロドラマといってももはや死語になってしまうほど、そのジャンルの国産ドラマはほとんど見かけなくなりました。現代社会では人権感覚や法律や科学知識なども高まったため、安易な展開は、単純に感動するのではなく笑い飛ばされるだけでしょう。
しかし、ドラマはドキュメンタリーではありません。娯楽の一つとして、現実の規範やしがらみを忘れて単純に感動したい。そう思う視聴者も少なくないはずです。それが、今回の「16.1%」という数字に表れているのではないでしょうか。
そして、そのようなドラマには、アクの強い人ではなく、草なぎのような繊細で「いい人」なキャラを貫ける俳優が不可欠です。今回、ストーリーに対してはいろいろ注文が入りましたが、主演の草なぎはおおむね好評でした。草なぎは今回の仕事でメロドラマ俳優としてのポジションを確かなものにしたのです。
おそらく今後、路線として主流にはならないでしょうが、たまには作られるであろうこうした古典的なドラマには、草なぎ主演が定番になるかもしれません。
かつて、メロドラマに数多く出演した女優を“メロドラマの女王”などと呼びましたが、草なぎ剛はさしずめ“メロドラマ王”といったところでしょうか。
『冬のサクラ』や『僕と妻の1778の物語』で活躍する草なぎ剛については、『Jマニア117』の特集記事で詳しく解説しています。
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