今回はこのほか、今まで描かれなかった衣香と樹それぞれの知られざる過去が描かれた。衣香は幼い頃に母親が自分を捨て、男と駆け落ちしたツラい過去を持つ。衣香は母が残した2，000万円もの借金を引き継ぎ、いまだに返済を続けていた。出会い系サイトの“サクラ”をしていたのは、そのためらしい。

　また、樹はかつて衣香を暴漢から助けようとした際、頭を殴られ聴覚に支障をきたしたため、バイオリニストの道を断念していた。最近になって暴漢は殺されてしまったが、警察は樹が暴漢を殺害したとにらんでいる。さらに、姑の千鶴子（高畑淳子）の保険金詐欺疑惑や、誠が会社で不正を働いている疑惑や、不倫疑惑などもほのめかされており、話がどこへ展開するのかまったく読めない混沌とした状況になっている。

　そして第3話のラストは、なんと衣香と樹の濃厚なベッドシーン。「せめて勇人が大学に入るまで母親として生きてちょうだい」と千鶴子に釘を刺されたにもかかわらず、衣香は母親ではなく“女”としての生き方に走ってしまった瞬間であった。「本当に欲しいものはたったひとつ。どちらかしか選べない。自分の欲しいものを明確にしておかないとすべてなくしてしまうわよ」との衣香の友人・杏子（三浦理恵子）の言葉は、衣香の突き進む先にある結末を暗示しているのだろうか。

　深夜ドラマらしい展開であったが、視聴者からは「2人がなぜ惹かれ合っているのかまったくわからない」「オッサンとオバサンの濡れ場見せられてもなぁ……」「2人の年齢が離れすぎてて、親子にしか見えない」などの辛辣なツッコミも上がっていた。

　“ネタドラマ”としてのハチャメチャなおもしろさも、過去2回に比べて少しトーンダウンしてしまった第3話。樹の真意が明らかになる次回以降で、トンチキ展開を楽しみにしたい。