「ジャニー社長が激怒して帰って」「ダメだったら辞めよう」、音楽Pが明かすSMAP「$10」発売までの攻防

2017.6.9

 デビューからの2年間は売り出しに「大苦戦した」が、ガラッと変わるきっかけとなったのは、SMAPが出演するバラエティ『夢がMORI MORI』(フジテレビ系、1992~95年放送)だったとのこと。当時、ある楽曲が同番組のタイアップに決まっており、野澤氏はフジテレビの荒井昭博プロデューサーに「この曲で行きます」と報告。局の編成部などからもすべてOKが出た段階だったところ、撮影の2日ほど前に野澤氏が「荒井さんごめん、曲変えたい」と、申し出たそうだ。

 野澤氏いわく、当初こそ荒井プロデューサーは「いや、勘弁してください」と曲の変更を拒否したが、「でもね、荒井さんが素晴らしかったのは、2分ぐらい考えて、『野澤さん、本当にそれ売れると思ってます?』って言われて。『もう絶対売れますよ、この曲』って、僕は言うしかないんで。(すると荒井プロデューサーが)『わかりました。じゃあ、それに乗ります』って言って、シングルになったのが『$10』って曲なんですよ」と舞台裏を語った。

 さらに、野澤氏は「$10」に関して、「その曲は、実はほとんど会社のスタッフにも聞かせていないし、ほとんど誰にも聞かせずにシングルにしたんですね。もちろん事務所のオーソライズ(許可)も得ずに」と激白。「(ジャニー喜多川)社長はその曲を聞いて、とても激怒し……。『僕、聞いてないよ』と。『知らないよ。僕はもう知らないから、アンタたち勝手にやりなさい』って、もう激怒して帰って。もう1人、ジャニーズの現場のプロデューサーの鎌田くんっていうのがいて、彼と2人でやってて。2人でね、『これさ、ダメだったらもう辞めよう』と。『もうここまでやっちゃったから、ダメだったらもう“すみませんでした”って辞めましょう』って言ったら、それが爆発的ヒットにつながったんですね」と明かした。

 実際に『夢がMORI MORI』のオープニングテーマに起用された「$10」は、SMAPにとって10枚目のシングルで、シンガーソングライター・林田健司のアルバム収録曲をカバーした楽曲。それまでのSMAPは「正義の味方はあてにならない」や「心の鏡」といったアイドルらしい爽やかでポップな曲が多かったが、「$10」は一転して大人の男性の雰囲気を感じさせるクールなメロディーや歌詞が特徴的だった。同曲の発売後、林田は「君色思い」「KANSHAして」「青いイナズマ」といった名曲をSMAPに提供しており、「$10」がSMAPの人気や活動に与えた影響は計り知れない。

 このラジオを受け、SMAPファンからは「ジャニーさん、『$10』のカッコよさわからなかったの?」「『$10』はSMAPの転機になった曲だけど、社長に激怒されたの!? このタイミングでこの曲じゃなかったらSMAPの未来は違ったかもしれない」「『$10』のエピソードがドラマチック過ぎ。野澤さんの貴重なお話が聞けてうれしい」といった意見がネット上を飛び交っていた。

 また、事務所が希望する“王子様路線”ではなく、野澤氏らが等身大の魅力を引き出した点についても、「SMAPがジャニーズにふさわしい王子様として育っていたら、絶対ファンになってないな。もし野澤さんが、男の色気が開花しつつあるSMAPに気づいて『$10』を当てたとしたら、それがプロデュースの才能なんだろうね」「ジャニーさんには申し訳ないけど、SMAPはビクター主導で楽曲作るようになってから抜群に曲のクオリティが上がった」「SMAPが宇宙からカボチャの馬車に乗ってきた王子様だったら絶対にハマらなかった。ほんとにビクターさんでよかったわ」と、改めてビクターの方針に感謝していた。

 このように、ジャニーズ内では長らく孤高のグループとして存在したSMAP。惜しまれつつも昨年末で解散してしまったが、メンバーやビクター、マネジメント関係者の功績は今後も語り継がれることだろう。

コメント

  1. 名無しだJ より 2019年3月3日 1:56 PM

    私は$10からファンになりました。
    貴重なお話ありがとうございます。
    これからもずっとずっとSMAPが好きです!

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