2月25日、東京・下北沢の「本屋 B&B」で、『大人のSMAP論』(宝島社新書)の共著者である、速水健朗氏、戸部田誠氏、みきーる氏によるトークイベントが行われた。会場はSMAPファンと思しき女性が中心であったが、メディア論に真剣に耳を傾ける男性も見受けられ、50席近くが満席となった。
「大人のSMAP論」は、3氏による鼎談をまとめたもので、SMAP解散直前の2016年12月10日に発売。速水氏はメディア論や都市論を専門とするライター・編集者。戸部田氏は「てれびのスキマ」名義のコラムでも知られるテレビウォッチャー。そして、みきーる氏はジャニーズファン歴20年以上の「ジャニヲタ・エバンジェリスト」を名乗る。解散報道後、SMAPを社会学的に語る本がいくつか出版されたが、この本は得意分野の違う3氏が集まったことで、音楽やコマーシャルに視点を置き、SMAPが社会に与えた影響が語られたり、ファンの視点からアイドルの“高齢化”について語られたりと、SMAPのことをより深く、さまざまな観点から分析している。速水氏は「CDは残るものだが、残らずに流されているテレビ出演や流行、またファンコミュニティの視点について触れた。時代論、社会論としてしまうと“終わったもの”となり、『ああ、そんなものがあったよね』と片付けられてしまう。そこへの抗いがあった」と、本書の意図を語っていた。
■『SMAP×SMAP』は“タモリ”の存在あってこそ
トークイベントでは、本書に書かれていない部分の補足から始めることに。まず、16年12月26日に放送されたSMAPの冠番組『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)最終回について。戸部田氏は、「フジテレビの一番悪いところと一番いいところが出た」と語る。「悪いところはエンディング。スタッフロールでスタッフが記念写真を撮る。“内輪”だなというのはありましたね。前半の総集編はファンに向けてうまく作ってあり、泣き虫リーダーとしての中居(正広)くんがクローズアップされていた。あれは泣けましたね」と、ネット上でも賛否が分かれたエンディングの演出についても言及していた。
その上で、実質的な最終回である12月19日放送のタモリがゲスト出演した回について、「見事なキャスティング」と高く評価する戸部田氏。「SMAPにとってタモリさんは大きな存在だと感じましたね。『笑っていいとも!』(同)はSMAPにとって重要な番組だった。国民的スターになっていくなかで欠かせない番組。タモリさんが『BISTRO SMAP』の判定で、『どっちもおいしかった。今日は最終回だから判定はいいんじゃないか?』とメンバー全員に星(星型のクリスタル)を贈った。いかにもタモリ」と、ファンの感動を誘った部分を客観的に解説。みきーる氏も「多く語らないことで逆に伝えてくれたことが多かった」と感想を述べており、SMAPとタモリの組み合わせの妙に感心していた。
本書にも、タモリについて「誰なら仲裁できるんでしょうか。明石家さんまさんが口を出して、ネットで炎上したりしていますが」(速水氏)、「やっぱりタモリさんですかね。可能性があるとすればですが」(戸部田氏)と語る箇所が。テレビウォッチャーもジャニーズファンも認める“適任”が、来るべく時に『SMAP×SMAP』へ登場したということだろう。
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