メンバーの青山孝史を連れて伊豆・下田で撮影したはいいものの、豪雨により伊豆が孤立。一晩経っても帰路の見通しが立たない状態だったが、夜には青山をどうしても東京に戻さなくてはならず、なんとか漁船を手配して事なきを得たのだとか。しかし、その際にメリー氏が放ったのは、「めったにない体験だったけど、でもちょっと残念だったわね。テレビ局に連絡して、電話でもいいから、下田から中継すればよかったのに」という一言。残間氏は、「これこそが真のプロデューサーなのだと、無事生還しか考えなかった私の狭量さを恥じた」と振り返っている。前述の通り、ジャニー氏がタレントのプロデュース、メリー氏が事務所運営だと思われがちだが、残間氏は、メリー氏のプロデュース能力の高さを評価しているのだ。実際、近藤はかつて移動中の車内やバイクから音楽番組に出演したこともあり、ファンの記憶にも残っている。当時のVTRが今でも流されることもあり、インパクトは十分だといえよう。
また、一時期、所属タレントが少なく事務所が窮地に陥った際も、メリー氏は冷静だったと回顧。エレベーターもない、廃墟のような雑居ビルに引っ越したことに残間氏がショックを受けていると、「あら、今は所属タレントが少ないから仕方ないじゃない。このくらいの空間が合ってるのよ。仕事がなくなったら、閉じる。で、また仕事が増えたら大きくすればいいのよ」と、笑顔で言い聞かせたという。こういった割り切った部分がある一方、「娘さんを出産されたときも、誰にも気づかれないように、仕事に支障がないように、密かに産んでまわりを驚かせた」というから、芯の強さと周囲への気遣いを併せ持った、強い女性なのだろう。
残間は自らの口でメッセージを伝える場面で、1月のSMAP独立/解散報道を指しているのか、「年末から年明けに向けて、色々大変でしたね」とねぎらいつつ、「でもこの40年近く、メリーさんの仕事ぶりを見せていただいておりましたから、案ずることもなく、静観しておりました」。そしてメリー氏が「私、死ぬまで仕事をし続けるわ。あなた、『閉じる幸せ』なんて本を書いたけど、私は一生、閉じませんからね」と話したというエピソードを引き合いにし、「働く女性」としてのメリー氏への敬愛を口にしてコーナーを締めた。
89歳と、一般企業では考えにくいほどの超高齢の幹部だが、彼女のシビアな視点と魑魅魍魎の芸能界を渡り歩いてきたという自負こそ事務所を支えているのだろう。それが良いも悪いも含めて事務所に絶大な影響を与えているのは、間違いなさそうだ。
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