木村拓哉が忘れられなかった「薬膳カレー」

2011.5.17

『日刊ゲンダイ』に、有名人が大切にしている「秘蔵写真」を紹介するコーナーがあります。5月16日付に登場したのは佐藤蛾次郎。映画『男はつらいよ』で、町内の寺で働いている源公役を演じました。

『男はつらいよ』といえば、合計48本作られた日本映画市場に残る国民的映画です。最後に作られたのは14年前ですが、今も公式サイトがあり、DVDも販売されています。

「源公」は当時、俳優業の傍らでカレー屋を経営していて、撮影所では炊き出しのつもりでカレーを作って振る舞っていたそうです。そのとき、倍賞千恵子さんと一緒に撮った写真が「秘蔵写真」として公開されています。

カレーは、鶏もも肉をベースに玉ねぎ、セロリ、朝鮮人参、クコ、ショウガなどを加えて7~8時間煮込んだ「薬膳カレー」。現場の人々からは好評で、出演者もスタッフも好んだとか。

主演の「寅さん」こと渥美清は、スタッフに遠慮していつも少ししか食べなかったのに、亡くなる直前の最終作では大盛を食べたそうです。食べおさめという気持ちがあったのでしょうか。

現在、蛾次郎はカラオケパブを経営。「薬膳カレー」は裏メニューとして残しています。

ところが、どこで聞きつけたのか、ある男が店にやってきてカレーを注文しました。裏メニューを知っているなんて何者だろうと蛾次郎が見ると、その男は何と木村拓哉だったというのです。

木村は『武士の一分』の撮影で食べたカレーが忘れられず、わざわざ店を探して食べに来たそうです。

『男はつらいよ』も『武士の一分』も山田洋次監督です。

木村にとって『武士の一分』は、自分の提案が山田監督に無視されたとか、原作が当時ジャニーズ事務所と裁判中だった文藝春秋社のため、写真の貸し出しを断り作品と原作のタイアップ作戦にケチがついたとか、マスコミ報道の限りでは、木村にとって決して心地よい記憶ではないように感じられます。

にもかかわらず、その時を思い出すようなカレーを、本人が店を探しても食べに行った。

カレーもさることながら、周囲には分からない、木村なりの作品に対するこだわりや忘れたくない思い出があるのかもしれません。

キムタクファンのみなさん。ちょっといい話だと思いませんか?

『Jマニア120』特集記事では、SMAPが東日本大震災とどう向き合ったかが書かれています。

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