「社会的ステータスに関する考察」では、学部長賞を獲った成績優秀な後輩・東山から「論文の感想を聞かせてほしい」と連絡がくるが、その論文原稿をなくして読んでいない哲郎。先輩としての威厳を保つため、「何かおごってやろう」と上から目線で返事をすると、東山から「フレンチがいいっす」「ついでに映画行きません？」と返信が。そして、論文はノートパソコンの間から出てきたのだった……というオチであった。

　ここで論文の表紙が大写しになり、視聴者にとって衝撃の事実が発覚。生意気な後輩・東山は、「東山由香」という“女子”だったのだ。これまでずっと「東山」とだけ呼ばれており、メッセージの文面も男っぽく、哲郎の態度もそっけなかったため多くの人が“男の後輩”だと勘違いしていた模様。ネットでも、「まさか東山が女だったとは！」「東山“さん”……すっかり騙されたわ～」「女だと知ったときの衝撃がすごい！」と驚きの声が上がった。相手がどんな人物かわからないというのは、一人芝居ならではの仕掛けである。

　女子だと発覚した上でこれまでの東山のメッセージなどを思い返すと、物語の印象がかなり変わってくる。ぶっきらぼうな文面ながらも、妙に哲郎を慕うメッセージ。哲郎が群馬に引っ越ししてきたばかりのときは、車を出すのでホームセンターに行こうと誘ってくれてもいた。「東山は女子」という目線で群馬に引っ越してきた回から見直すと、別のストーリーが見えてきそうだ。

　「巨石の処遇に関する提案」は、東山と二人で川へ調査に行き、大きな石を運ぶのを手伝わせたために東山がずぶ濡れに。とりあえず哲郎の家に来た東山は、哲郎がコーヒーを入れている間に庭に服を干した模様。哲郎は東山が風呂場にいると勘違いし、二人っきりのシチュエーションにドキドキ。そんなとき大学院の友人・吉田から連絡が入り、哲郎が東山と2人で映画を観てフレンチを食べたことが植村さんの耳に届いてしまったという。

　困惑する哲郎は、東山がいる風呂場に向かって「今日のことは誰にも言わずに黙っておいてくれないか」などとやさしく声をかけ、あれこれ言い訳するのだが……。そこへ東山から「今家に着きました」と連絡が。二人っきりと思い込んで勝手にドキドキしていた哲郎だったが、東山はとっくに家路についていたのだった。拍子抜けして「この石、邪魔だなあ」と言い捨てる哲郎に、大きな石役の中島の「お前が持ってきたんだろ」というセクシーボイスが響いていた。

　哲郎が思い込みで勘違いするのはいつものことなのだが、それに視聴者の「東山は男」という思い込みと「実は女だった」と事実発覚の衝撃、さらに中島のセクシーな声の出演の影響もあって、「巨石の処遇に関する提案」は哲郎以上にドキドキ感が増幅。とても凝った演出が伝わる興味深い回だった。

　いよいよ来週は最終回。哲郎と植村さんの遠距離恋愛はどのようになるのか。楽しみである。